ゆまに学芸選書ULULA 11
ユダヤ人と大衆文化
定価1,980円(本体1,800円)
ISBN 978-4-8433-4546-7 C1336
四六判/上製カバー装
刊行年月 2014年04月
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本書の内容
ハリウッド、ブロードウェー、ジーンズなど、アメリカ文化の多くはユダヤ人によって生み出された。一方、ユダヤ系知識人たちはその大衆文化を否定的に捉えていた……。ユダヤ人の大衆性と「非」大衆性をめぐる文化論。
【日本図書館協会選定図書】
いかにしてユダヤ人はアメリカを代表する大衆文化を担う存在となったのか。そして激動の歴史の中で、変転する文化状況を見つめていたユダヤ系知識人たちのまなざしとはいかなるものだったのか。
本書を通じてホロコーストの犠牲者としてのユダヤ人像だけではなく、これまで知られていなかったユダヤ人の姿を発見することができるだろう。
【本書のキーワード】
アル・ジョルソン/ウディ・アレン/ジョージ・ガーシュウィン/スーザン・ソンタグ/ダッチ・シュルツ/チャールズ・チャップリン/ハンナ・アーレント/フライシャー兄弟/マルクス兄弟/メル・ブルックス/レニー・ブルース/ウェスト・サイド物語/三ばか大将/となりのサインフェルド/ハリウッド/ブロードウェーミュージカル/ベティ・ブープ/ベーグル/ホットドック/ユダヤ・ギャング/アヴァンギャルドとキッチュ/禁酒法/シュレミール/ディアスポラとナショナリズム/ニューレフトとカウンターカルチャー/ニューヨーク知識人 他
■著者
堀 邦維(ほり くにしげ) 日本大学芸術学部教授
目次
まえがき
第Ⅰ部 アメリカ大衆文化を担ったユダヤ人
第1章 ゲットーからハリウッドへ
1 ロシア・東欧からの移民
2 五セント劇場
3 エジソン・トラストとの確執
4 ハリウッドへの進出
5 フォードの反ユダヤ主義
6 ナチズムへの対応
第2章 黒い顔のユダヤ人とユダヤ的非ユダヤ人
1 アル・ジョルソンの『ジャズ・シンガー』
2 黒い顔のユダヤ人
3 チャップリン―英国系ユダヤ人?
4 「シュレミール」としてのチャーリー
5 チャップリンのアイデンティティ
第3章 ギャグの伝統、反体制の伝統
1 マルクス兄弟
2 三ばか大将(スリー・ストゥージズ)
3 『おまえはナチのスパイ』
4 戦時体制への適合
5 『十字砲火』と『紳士協定』
第4章 ブロードウェーとティン・パン・アレー
1 『蝶々夫人』と『るつぼ』
2 ティン・パン・アレーとジーグフェルド
3 ユダヤ系音楽出版社とプロデューサー
4 ジョージ・ガーシュウィン
5 アーヴィング・バーリン
第5章 ミュージカルの黄金時代
1 ロジャースとハマースタイン
2 レナード・バーンスタインと『ウエスト・サイド物語』
3 『屋根の上のバイオリン弾き』
4 ユダヤ人を取り巻く状況の変化
5 『コーラス・ライン』とハムリッシュ
第6章 舞台からテレビへ
1 ユダヤ系コメディー・ライターたち
2 レニー・ブルース
3 ウディ・アレン
4 メル・ブルックス
第7章 「ユダヤ」をめぐる攻防
1 『ゴールドバーグ家』
2 ユダヤ的テーマと脱ユダヤ化
3 「ユダヤ」コメディー
4 『サインフェルド』現象―アメリカの「ユダヤ化」
第8章 アニメーション
1 アニメの草創期とユダヤ人
2 フライシャー兄弟とユダヤ娘ベティ・ブープ
3 『ポパイ』と『スーパーマン』
4 『ルーニー・テューンズ』―バッグス・バニー、シルベスター・キャットなど
第9章 生活の中のユダヤ文化
1 デリカテッセン
2 ベーグル
3 ホットドッグ
4 アメリカン・ファッションとユダヤ人
5 下着からハリウッド・スターの衣装まで
6 リーヴァイス
7 デパート
第10章 暗黒街のユダヤ人
1 暗黒街とユダヤ人
2 禁酒法とギャング
3 闇の世界の帝王ロススタイン
4 ゲットーからアンダーワールドへ
5 ダッチ・シュルツの最期
6 ナチ党集会を粉砕したユダヤ・ギャング
7 イスラエル建国への支援
第Ⅱ部 「非」大衆としてのユダヤ人
第11章 アメリカ文化の分裂
1 アメリカ的、非アメリカ的
2 ハリウッド・テン
3 ニューヨーク知識人
4 アヴァンギャルドとキッチュ
5 状況への適合と大衆からの距離
6 若者文化への反発
第12章 六〇年代文化への対応
1 ニューレフトとカウンターカルチャー
2 知的親子関係
3 スーザン・ソンタグの「キャンプ」
4 大衆への恐れ
第13章 キッチュをめぐる議論
1 誌上シンポジウム
2 先駆的キッチュ論
3 フリードレンダーの提言
4 ヨーロッパのキッチュ、アメリカのキッチュ
5 民主主義のキッチュ
6 ロマン主義とキッチュ
7 ブロッホのキッチュ論
8 エリアスのキッチュ論
第14章 ディアスポラとナショナリズム
1 相反する概念
2 スケープゴート
3 バーリンとエリアスのナショナリズム論
4 ナチズム
5 アメリカのナショナリズム
あとがき―映画『ハンナ・アーレント』を観て
注
引証文献一覧
図版出典一覧
事項索引/人名索引