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REVUE FRANCO-NIPPONNE 全2巻

REVUE FRANCO-NIPPONNE 全2巻

[監修] 松崎碩子 [監修] 和田桂子

揃定価77,000円(揃本体70,000円) 
ISBN 978-4-8433-4608-2 C3321
A5判/上製/クロス装/カバー
刊行年月 2014年12月

関連情報

本書の内容

─1926年2月〜1930年1月、 パリと日本をつなぐ幻の日仏文化交流誌。藤田嗣治、辻潤、キク・ヤマタ、エミール・スタイニルベル=オーベルラン、アンリ・ド・レニエら、日仏文化人の交流を読み解く第一級の資料。

*本書の本文は全てフランス語です。

復刻版『REVUE FRANCO-NIPPONNE』について 松崎碩子(コレージュ・ド・フランス日本学高等研究所前 所長)/ 和田桂子(清泉女子大学教授)

 19世紀末の、ジャポネズリー、ジャポニスムの時代を経過して、20世紀初頭、パリにおいて日本文化は次第に注目を集めるようになっていた。吉江喬松は『仏蘭西印象記』(1921)で、「日本を知りたいといふ要求は、兎に角次第に仏蘭西人の間に強くなりつつあるのは事実だと思ひます。」と回想している。「ハイカイ」を推し進めたポール=ルイ・クーシューの『アジアの賢人と詩人』は1916年に刊行されており、『N.R.F』も1920年9月にハイカイ特集号を組んでいる。  
 そのような状況にあって、ジャポニザン(日本通)をターゲットに、松尾邦之助は『ルヴュ・フランコ・ニッポンヌ』というフランス語の日仏文化交流誌を刊行する。これ以前に松尾は石黒敬七とともに『巴里週報』という謄写版の新聞を刊行していたが、「怪紳士」中西顕政の援助と、藤田嗣治、川路柳虹、キク・ヤマタなどのパリ在住日本人、エミール・スタイニルベル=オーベルラン、アンリ・ド・レニエ、ミシェル・ルヴォンなどのフランス親日派知識人の協力を受け、雑誌の刊行に乗り出したのである。1926年に創刊し、1930年まで12号を刊行する。  
 このうち第10号は発見することができなかったが、日仏文化連絡協会発行の日本語小冊子『巴里旬報』創刊号(1929年6月刊行、副題がREVUE FRANCO-NIPPONNE)を収録する。6頁の謄写版で、この号しか確認されていない貴重な資料である。パリ、日本両地での会員として80名ほどの文化人知識人が記されている。  
 また、併せてこの『ルヴュ・フランコ・ニッポンヌ』をフィーチャーした論集『両大戦間の日仏文化交流』を刊行する。各著者による論考は、1920年代後半〜1930年代前半の「狂乱の時代」を駆け抜けた日仏文化人たちの交流はもとより、パリの日本人社会の精神的な活動状況をも明らかにするだろう。

●松尾邦之助について●
 1899年(明治32年)11月15日~1975年(昭和50年)4月3日。静岡県浜松市に生まれる。東京外語フランス語文科を経て、1922年に逓信省の嘱託となり渡仏。1925年、パリの日本人会の書記になった。1926年、中西顕政の出資で仏文の文化雑誌 "REVUE FRANCO-NIPPONNE"(日仏評論)を創刊。オーベルランとの共著『其角の俳諧』(1927)で著名となる。藤田嗣治、辻潤、アンドレ・ジッド、ポール・ヴァレリーらと交わる。読売新聞パリ支局長となり、並行して満鉄の援助を受け仏文の日本紹介誌 "FRANCE - JAPON"を創刊、編集した。1940年のナチスの占領までパリに留まる。 その後、トルコ、スペインに特派員として赴く。1946年帰国。読売新聞論説委員となり停年まで勤める。その後パリ日本館顧問、大東文化大教授などを歴任。1958年にレジオン・ドヌール勲章、1964年にフランス政府から芸術文化勲章を授与された。1975年、死去。

◆本書の特色◆

●日本文化が注目を集めた、1920~1930年代のパリを活写する希少な日仏文化交流誌。
●多くの日仏文化人による著作の数々(クロード・ファレル、レネ・モーブラン、エミール・スタイニルベル=オーベルラン、藤田嗣治、松尾邦之助、辻潤、柳沢健など)
●監修者による解題を附す。
●『REVUE FRANCO-NIPPONNE』を特集した論集を来年3月頃刊行。1920~1930年代におけるパリの日本人社会の活動状況を検証する。

REVUE FRANCO-NIPPONNE vol.1 No.1~No.6(1926. 2~1927. 8)

刊行年月 2014年12月 定価38,500円 (本体35,000円) ISBN978-4-8433-4609-9

第1号 「パリに住む日本人は何を思っているか」松尾邦之助/「詩篇」アンリ・ド・レニエ/「フランスのハイカイ」ルネ・モーブラン/「日本の俳諧は廃れてしまったのか」松尾邦之助/「書評 谷崎潤一郎『愛すればこそ』」エミール・スタイニルベル=オーベルラン ほか
第2号 「祝辞」石井菊次郎/「寸言」クロード・ファレル/「世界は小さい」松尾邦之助/「星」フェルナン・グレグ/「フランツ・トゥーサン『松は歌う』序文」キク・ヤマタ/「赤不動」柳亮 (松尾邦之助訳)/「松山鏡」若月馥次郎訳 ほか
第3号 「(未発表詩篇) 喪に服す少女」フレデリック・プレシ/「フレデリック・プレシとその作品」マリ=ルイーズ・ヴィニョン/「フランス文壇における最新の傾向」ジョルジュ・ヘイツ/「日本へ帰ると」藤田嗣治/「日本音楽を喚起させるドビュッシーの音楽」柳沢健/「俳人 榎本其角」セルジュ・エリセーエフ/「ワロン地方の詩」カミーユ・ファブリ/「向こうに」ジャーヌ・カチュール=マンデス ほか
第4号 「(未発表詩篇)四月二十日」アンリ・プーラ/「日本讃」ジョルジュ・デドゥヴィズ=ドゥ=デゼール/「素描」藤田嗣治/「サロモン・レナック氏と黄色人種の思想」エミール・スタイニルベル=オーベルラン/「書評 アルベール・メボン『今日の日本』」ルネ・モーブラン/「ハイカイ」マリ=ルイーズ・ヴィニョン/「ハイカイ」H=G・アーノルド ほか
第5号 「天皇陛下崩御」/「エドモン・ド・ゴンクール訪問」アルフォンス・ドーデ夫人/「失われた手のために」アメリ・ミュラ/「日本の音楽について」ルビエンスキー伯爵/「芸者の唄二篇」エミール・スタイニルベル=オーベルラン、岩村英武共訳/「永井荷風『牡丹の客』」セルジュ・エリセーエフ訳/「日本の現代演劇 浦島」ロベール・ショヴロ ほか
第6号 「パリからアテネへ 旅の記録と印象」松尾邦之助/「いかにして日本人にフランス語を教えるか」ルイ・マルシャン/「パリの日本演劇 岡本綺堂『修善寺物語』」A・D/「日本映画について」リュック・ブノワ ほか

REVUE FRANCO-NIPPONNE vol.2 No.7~No.9, No.11~No.12(1928. 7~1930. 1)/ 『巴里旬報』(1929. 6)

刊行年月 2014年12月 定価38,500円 (本体35,000円) ISBN978-4-8433-4610-5

第7号 「新パリ駐在日本大使からの手紙」安達峰一郎/「富士山の麓で」中西顕政/「富士三十六景」ジュリアン・ヴォカンス/ 「アジア擁護論」エミール・スタイニルベル=オーベルラン/「ピエール・ブノワ氏の想像力、この『狂った見方』」松尾邦之助 ほか
第8号 「『アジア擁護論』をめぐる論争」エミール・スタイニルベル=オーベルラン/「日本における女性解放運動」N. R./「ジョゼ・ジェルマン、サムライの心を持つフランス人作家」松尾邦之助/「よもやま話」ポール・クローデル ほか
第9号 「日本とフランスの接近」中西顕政/「フランス」アンリ・ド・レニエ/「現代の詩について」アンドレ・フロン=ド=ヴォー/「子どもが目覚める」アメリ・ミュラ/「帰還」ジャーヌ・サンドリオン/「牧歌」マリ=ルイーズ・ドロマール/「根付」ジュリアン・ヴォカンス/「ある詩人の墓碑」フレデリック・プレシ ほか
第11号 「風景画」長谷川潔/「夜」北原白秋(松尾邦之助、ジャン・ペドロン共訳)/「ハイカイ スペイン点描」ルネ・ドリュアール/「恋愛資料─キク・ヤマタ訳『源氏物語』」エミール・スタイニルベル=オーベルラン/「アルベール・メボン『日本の寺院』」エミール・スタイニルベル=オーベルラン ほか
第12号 「詩篇」ピエール・ド・ノラック/「浮浪者」フェルナン・グレグ/「なにゆえに私はフランスを愛するか」中西顕政/「ラマルティーヌのブルジェ湖」マリ=ルイーズ・ヴィニョン/「生田長江『首吊りごつこ』」松尾邦之助訳 ほか
『巴里旬報』 「発刊の挨拶」/「文芸 文学賞金を得た反アジア論者アンリ・マツシス氏」/「文芸雑報」/「美術 日本画展批評(ジュー ド ポーム)」ギー・ムーヌロ/「美術雑報」/「映画だより」/「経済・社会だより」 ほか