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大正天皇実録 補訂版 全六巻・別巻一
揃定価72,380円(揃本体65,800円)
ISBN 978-4-8433-5038-6 C3321
菊判/上製/本クロス装/美麗貼函入り
本書の内容
大正天皇崩御九十年を迎え、「天皇紀」、「天皇実録」中、唯一未公刊であった「大正天皇実録」を補訂して刊行。
大正天皇
1879(明治12)年8月31日〜1926(大正15)年12月25日
第123代天皇。諱は、嘉仁(よしひと)。
幼少時の御称号は、明宮(はるのみや)。
お印は壽(じゅ)。
刊行のことば 岩壁義光 IWAKABE Yoshimitsu
「大正天皇実録」は、明治一二年(一八七九)の御降誕から大正一五年(一九二六)の崩御に至る大正天皇の御生涯を編修した実録である。編修は、昭和二年(一九二七)宮内省図書寮に大正天皇実録部が設置され、編修課長芝葛盛を編修主任に、大正天皇の元侍従であった落合為誠と北小路三郎を御用掛に迎えて五カ年計画で開始された。しかし慢性的な人員不足や現代史故の資料収集の困難さから、昭和六年に三カ年、同九年にはさらに三カ年と編修期間が延長され、また臨時官制により編修官二名、編修官補四名が増員されるなど編修体制の強化も図られ、予定内の完成が目指された。こうして昭和一一年一二月、大正天皇の「十年御式年祭」が行われるのを機として実録本文八五冊の編修を終え、昭和天皇に捧呈された。また、翌一二年には年表二冊、索引七冊、および実録資料稿本二一八冊の編修も終え、同一三年に編修事業は終了したのである。今回、刊行するのはこの実録本文部分である。
完成された実録は、同時期に編修課により編修された「天皇皇族実録」が編年史料体であったのとは異なり、臨時帝室編修局編修の「明治天皇紀」と同じく編年叙述体で編まれたが、史料の長文の直接引用やカギ括弧による引用表記などの特徴を持っている。
内容的には、大正天皇が近代日本における最初の皇太子であったことから、皇室のグローバル化のなかで進む養育や教育の実態のほか、明治天皇にはない皇太子としての地方への行啓などがつぶさに記されており、御日常の叙述には「嚆矢」となる記事が随所に見られる。また即位以降は、近代日本の国史として編修された「明治天皇紀」とは異なる天皇の御事蹟としての特徴を持っている。
「大正天皇実録」の名が広く巷間に知られたのは、不幸にも情報公開法施行後の本文へのマスキングの話題からであったが、再精査を経て現在公開されている実録は、天皇御在位中のマスキングは二行に過ぎないほど限定的となっている。しかし、本文自体は経年による劣化で印字の不鮮明化が進行していることから、今回実録の本文全体を新たに翻刻し刊行することとした。翻刻に当たっては「明治天皇紀」同様に修訂を加えたが、本文の体裁を整えるなど最小限に止め、補訂から生ずる混乱を防ぐため、本書では「脚註」においてマスキングの状態を明記し、補訂を加えた場合はその理由を記すと共に、注記を適宜加えて利用の便を図った。
本書の刊行により、近代史の新たな部分に光が当てられれば幸いである。
【岩壁義光】
(専門)日本近代史、記録資料学。一九五〇生まれ。法政大学大学院人文科学研究科日本史学博士課程後期満期退学。在学中、一九七八年神奈川県立博物館(現・県立歴史博物館)学芸部に就職。主任学芸員を経て、一九九〇年昭和天皇実録編修のため宮内庁書陵部に割愛異動。二〇一一年編修課長として退官したが、以降も同実録編修に編修事業終了まで従事。また本務の傍ら、在職中より大学で教鞭を執る。現在、法政大学、学習院大学、清泉女子大学で非常勤講師。東アジア近代史学会副会長。(主要著書)『黒船来航譜』(共編著・毎日新聞社、一九八八年)、『太政官期地方巡幸研究便覧』(共著・柏書房、二〇〇一)、近年は歴史資料の公開に取り組む一方、天皇皇族に関する論文を著述。
本書の内容と特徴
●「大正天皇実録」の公開
大正天皇実録は、一九三七年(昭和一一)に当時の図書寮編修課により完成されていたが、その後長く非公開資料とされてきた。二〇〇一年(平成一三)朝日新聞社記者の公開請求がきっかけとなり、宮内庁は当時歴史資料と位置付けられていた「大正天皇実録」の公開を決定し、即位践祚から崩御までの天皇在位期間を二〇〇二年から二〇〇三年、二〇〇八年にマスキング(いわゆる黒塗り部分)を施して公開した。二〇〇二年の公開部分は、巻四八〜巻五五の八冊で八六日分。計一四一箇所が伏せられた。二〇一一年に施行された公文書管理法に従い、未公開であった幼少から皇太子期を含め、本文八五冊、年表四冊、索引七冊、正誤表一冊の全冊が公開された。この時点でマスキング部分は約三%へと激減、さらに二〇一五年、宮内庁は公文書管理法にある「時の経過」の規定を考慮しマスキング部分を再検討し、これにより非公開部分は〇・五%にとどまるに至ったが、詳細は不明ではあるが病状や学業成績などプライバシーや尊厳にかかわる記述が現在も非公開にされている。
●翻刻にあたり底本に校訂 を加え、詳細な註を附す
今回の翻刻にあたって、底本原文のカタカナ表記を平仮名にすると共に、底本に補訂を加え、その根拠を註で明示した。墨塗り部分については、墨塗り部分を表示せず、たとえば「(註1)」のように示し、註記にて墨塗り部分の状態を明記した。
●特におすすめしたい方● 日本近代史、日本文化史・政治史などの研究者、大学図書館、公共図書館、関係研究機関、日本歴史愛好者など。
大正天皇実録 補訂版 第一 明治十二年〜明治三十三年
刊行年月 2016年12月
定価9,680円
(本体8,800円)
ISBN978-4-8433-5039-3
第一回配本 約560頁
御幼少・皇太子時代
大正天皇実録 補訂版 第二 明治三十四年〜明治四十年
刊行年月 2017年11月
定価9,680円
(本体8,800円)
ISBN978-4-8433-5040-9
第二回配本
御結婚後の皇太子時代前期
裕仁(後の昭和天皇)、雍仁(後の秩父宮)、宣仁(後の高松宮)の三親王が誕生。国内では帝国議会、観兵式に参列し、皇位継承の準備が始まる。対外的には、日露戦争の後、韓国を訪問する。
大正天皇実録 補訂版 第三 明治四十一年〜明治四十四年
刊行年月 2018年08月
定価9,680円
(本体8,800円)
ISBN978-4-8433-5041-6
第三回配本
御結婚後の皇太子時代後期
山口・徳島、東北六県、岐阜・北陸地方順啓。伊藤博文ハルビンにて暗殺さる。帝国陸軍中将に昇任。参謀本部演習旅行(岐阜)を初めて見学。以後軍事行啓が相次ぐ。初めて皇族会議に参列。千葉、北海道行啓。
大正天皇実録 補訂版 第四 明治四十五年・大正元年〜大正四年
刊行年月 2019年06月
定価9,680円
(本体8,800円)
ISBN978-4-8433-5042-3
第四回配本
天皇時代前期
明治天皇の薨去と大正天皇の即位。旧皇室典範・登極令に基づく初めての即位の礼とそれに続く大嘗祭という大礼が克明に記される。
大正天皇実録 補訂版 第五 大正五年〜大正九年
刊行年月 2020年04月
定価9,680円
(本体8,800円)
ISBN978-4-8433-5043-0
第五回配本
天皇時代中期
第一次世界大戦の激化と終結、ヴェルサイユ条約の締結から国際連盟常任理事国へ。米価高騰による米騒動、日本初の本格的な政党内閣誕生。天皇時代中期における政務を克明に記す。
大正天皇実録 補訂版 第六 大正十年〜昭和二年
刊行年月 2021年02月
定価9,680円
(本体8,800円)
ISBN978-4-8433-5044-7
第六回配本
天皇時代後期
皇太子裕仁親王の摂政任命から葉山御用邸における崩御まで。昭和への改元、大喪儀を含めた天皇時代後期が克明に記される。全八十五冊に及ぶ『実録』本文がここに完結。
大正天皇実録 補訂版 別巻 索引・解説
刊行年月 2025年03月(予定)
定価14,300円
(本体13,000円)
ISBN978-4-8433-5045-4
第七回配本
※刊行日未定です。