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英語教育史重要文献集成 第Ⅱ期 全5巻

英語教育史重要文献集成 第Ⅱ期 全5巻

[監修・解題] 江利川 春雄

揃定価79,200円(揃本体72,000円) 
ISBN 978-4-8433-5458-2 C3382
A5判/上製/カバー装
刊行年月 2018年11月

関連情報

本書の内容

明治期から敗戦直後まで、70年以上にわたって培われてきた英語教育研究のエッセンス。今こそ読まれるべき、入手・閲覧困難な文献を多数収録。

刊行にあたって   江利川 春雄 和歌山大学教育学部教授・日本英語教育史学会会長

 2017年に告示された新学習指導要領によって、小学校3年生から外国語活動を実施し、5年生からは正式教科として外国語(英語)を教えることになった。グローバル化への対応策として、国を挙げて英語教育を強化しようとしているのである。
 だが、英語教育の未来を拓くためには、先人たちの過去の奮闘から謙虚に学ぶ必要がある。たとえば、小学校での英語教育は明治中期から敗戦直後まで60年以上実施されており、日本の子どもにふさわしい様々な教材や教授法が工夫されてきた。中等学校の英語教授法はさらに進化を遂げ、今日読んでも驚嘆すべきものが少なくない。英語学習法や英語教員研修にも刮目すべきものがある。歴史の闇に埋もれさせるには、あまりに惜しい。
 そこで、この「英語教育史重要文献集成」では、日本の英語教育史において欠くことのできない重要文献のうち、特に今日的な示唆に富むものを精選して復刻することにした。いずれも国立国会図書館デジタルコレクションで一般公開されておらず、所蔵する図書館も僅少な、入手や閲覧が困難な文献である。好評をいただいた第㈵期に続き、第㈼期として以下の5巻を刊行する。
 第6巻と第7巻は、日本の英語教育界を代表する大家たちによる英語学習法を集めた幻の名著。いずれも、日本人にふさわしい英語学習法・研究法の宝庫である。
 第6巻の澁谷新平編『英語の学び方』(1918)は、神田乃武、井上十吉、斎藤秀三郎、岡倉由三郎など26人が、英語習得の体験と学習法を縦横に語っている。附録の「受験談」「英学生の座右銘」も貴重。
 第7巻の村井知至編『英語研究苦心談』(1925)は、村井知至、安部磯雄、武信由太郎など16人が自身の英語学習・研究体験を披瀝した講演記録。
 第8巻と第9巻は、英語教員講習に関する歴史的価値の高い記録である。英語教員の力量向上が求められる今日、極めて示唆に富む内容が盛り込まれている。
 第8巻には、明治30年代における文部省主催の中等英語教員講習会の詳細な英文記録2篇を収める。『スワン氏英語教授法』(1902)は、音声面を重視するPsychological Method(別名Natural Method)を提唱したフランソワーズ・グアンの高弟ハワード・スワンによる連続講話と授業実演の記録。現存が確認できるのは1冊のみというレアな資料である。『明治三十七年夏期金沢英語講習会筆記』(1904)も驚嘆すべき内容で、全国から集まった英語教員たちは3週間もの英語漬け環境で、音声学、教授法、英文学、英語学、英語研究法などを学び、英語の4技能を磨く実地訓練を積んでいた。
 第9巻は、戦後初期の文部省・東京教育大学共催による英語教員講習会の成果を集約した『第九回後期 教育指導者講習研究集録 英語科教育』(1952)である。福原麟太郎など豪華教授陣らによる質の高い内容で、戦後の英語教育学・英語科教育法の原型となった重要文献。手書き・謄写刷での少部数発行だったため、復刻が待たれていた。
 第10巻は、幕末・明治前期の英学史に関する2篇を収める。勝俣銓吉郎の「日本英学史話」(1941)は、倫理雑誌に収録された知られざる講演筆記。東京都都政史料館『東京の英学』(1959)は、慶應義塾などの英学教育機関について、豊富な人物誌を交えて描いた資料的価値の高い1冊である。
 幕末以降の先人たちは、日本語とは言語系統がまったく異なる英語と格闘し、日本人にふさわしい英語学習法や教授法を開拓してきた。それらは、今後の英語教育に幾多のヒントを与えてくれる。歴史は知恵の宝庫である。そのことを、本復刻シリーズは再確認させてくれるであろう。活用を願ってやまない。

【本書の特色】

●日本の英語教育史において欠くことのできない重要文献のうち、特に今日的な示唆に富むものを精選して復刻。
●様々な学習法や教授法が盛り込まれており、今日読んでも驚嘆すべきものを厳選。
●各巻末には監修者による詳細な解説を附す。
●どの文献も国立国会図書館デジタルコレクションで一般公開されておらず、所蔵する図書館も僅少で、入手や閲覧が困難な文献を収録。

●特におすすめしたい方●  
英語学や英語教育の研究者、小学校、中学、高校、大学、カルチャースクールなどで英語教育に携わっている方や、関係研究機関、大学図書館など。

英語教育史重要文献集成 第Ⅱ期 第6巻 英語学習法 1

刊行年月 2018年11月 定価18,700円 (本体17,000円) ISBN978-4-8433-5459-9

神田乃武、井上十吉、斎藤秀三郎、岡倉由三郎など日本の英語教育界を代表する大家たちが、自身の体験に基づいて英語学習法を述べた貴重な記録。今日にも有効な、日本人にふさわしい英語学習法の幻の名著。
澁谷新平[編]
英語の学び方 1918年 大阪屋號書店

英語教育史重要文献集成 第Ⅱ期 第7巻 英語学習法 2

刊行年月 2018年11月 定価18,700円 (本体17,000円) ISBN978-4-8433-5460-5

村井知至、安部磯雄、武信由太郎など16人の英語名人たちが、英語学習・研究体験を披瀝した重要文献。講演筆記のため、読みやすく、楽しみながら英語習得の奥義を学べる。
村井知至[編]
英語研究苦心談:十六大家講演集
1925年 文化生活研究会発行

英語教育史重要文献集成 第Ⅱ期 第8巻 英語教員講習 1

刊行年月 2018年11月 定価13,200円 (本体12,000円) ISBN978-4-8433-5461-2

文部省夏期英語講習会講義録
Howard Swan[講演]安藤貫一[筆記]
スワン氏英語教授法
The Psychological Method of Teaching and Studying English  
1902年 国民英学会発行
Gauntlett, McKenzie, Elliott[講演]安藤貫一[筆記]
明治三十七年夏期金沢英語講習会筆記
Resume of Lectures Given at the Summer School of English   1904年 三省堂発行

英語教育史重要文献集成 第Ⅱ期 第9巻 英語教員講習 2

刊行年月 2018年11月 定価13,200円 (本体12,000円) ISBN978-4-8433-5462-9

戦後の新制発足で量的飛躍をとげた英語教育の質的充実のために、各地域を代表する英語教育関係者を対象に、東京教育大学の英語教授陣と文部省関係者らが6週間にわたって実施した講習会の成果を集約。科学的な英語科教育法の確立をめざした体系的な構成で、戦後英語教育学の原型を形成した基本文献。
東京教育大学・昭和二十七年度教育指導者講習[編・発行]
第九回後期 教育指導者講習研究集録
英語科教育 1952年

英語教育史重要文献集成 第Ⅱ期 第10巻 英学史研究

刊行年月 2018年11月 定価15,400円 (本体14,000円) ISBN978-4-8433-5463-6

入手しがたい日本の英学史研究の文献2篇。「日本英学史話」は英学史研究の開拓者・勝俣銓吉郎の幻の講演。『東京の英学』は、慶應義塾など幕末・明治初期の英学教育機関と教師群像を、英学史研究者・手塚龍麿が一次資料に基づいて明らかにした希有な研究文献。
勝俣銓吉郎[著]
日本英学史話 1941年
(『丁酉倫理会 倫理講演集』第469輯)
東京都都政史料館[編・発行] 
東京の英学(東京都史紀要 第16) 1959年