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• 「戦後博覧会資料集成　全15巻」のカタログはこちらです。（pdf/1,425KB）

本書の内容

戦後、日本人は博覧会を通じてどのような未来を描いていたのか？全国各地で開催された様々なテーマの博覧会の各種資料を集大成し、戦後地方博覧会史を解明する。

※2020年4月24日　 第1回配本・全5巻　刊行しました。
※2020年10月25日　第2回配本・全5巻　刊行しました。
※2021年3月25日　 第3回配本・全5巻　刊行しました。

監修のことば　　　　　福間 良明

　戦後の日本では、大阪万博（一九七〇年）を皮切りに、沖縄海洋博（一九七五年）、愛知万博（二〇〇五年）といった国際博覧会が開催された。だが、それら以外にも、終戦間もない時期から、多くの博覧会が各地で開かれていた。その主題もじつに多様だった。戦後復興、平和、アメリカへの憧れ、原子力平和利用、地方の産業振興など、さまざまなテーマを掲げた博覧会が、全国各地で開催されてきた。
　しかし、各地の博覧会の戦後史を広く見渡すことは、これまで困難だった。資料が各地に散逸しているばかりではなく、どこでどんな博覧会が行われたのかをたどることも難しかった。入手困難な資料も決して少なくはない。本資料集は、高度成長期に差し掛かる前までの地方博覧会の各種資料を広く収めており、地方博の戦後史をめぐる研究の進展に寄与するものである。
　収録された資料を眺めていると、北海道や北陸など地方都市の復興・開発をテーマにしたものが目に付く。戦災や震災（福井地震など）からの復興を、地方がどう位置づけようとしていたのか。中央と地方の関係は、どのように捉えられていたのか。それは、原子力発電所やダム等をめぐる高度成長以降の開発主義と、どうつながるのか。こうした観点から戦後史を読み解く手掛かりになるだろう。
　原子力平和利用博覧会、アメリカ博覧会、広島復興大博覧会などは、戦争の記憶とアメリカへの憧れ、そして「核」イメージを考えるうえで、興味深い。さらに、北部南西諸島復興博覧会や八重山復興博覧会など、米軍統治下の奄美や沖縄（石垣島）で開かれた博覧会資料も収められている。そこから、戦後最初期のこれらの地域と米軍、そして日本本土との関係性を捉え返すことにもできるだろう。
　本資料集を通して、さまざまな観点から戦後博覧会史が切り拓かれることを期待したい。 　　（立命館大学産業社会学部教授）

【本書の特色】

●昭和20〜30年代前半、沖縄・奄美を含む日本各地で開催された博覧会に関する資料を可能な限り収集・復刻し、全国的に通覧可能とした。
●各博覧会の計画から終了までの経緯、収支、入場者数、物産・技術・娯楽等の展示物、観覧者やパヴィリオン等の写真他、戦後博覧会に関する情報を豊富に含む。
●戦前、戦時の反省に立った、地方の復興、経済発展、平和主義等、戦後日本が進もうとした理想像を知る手がかりとなる。
●テレビ放送の開始、アメリカ文化の影響、原子力の平和利用等、現代につながる諸問題の出発点を示す。
●第14巻に詳細な解説を附す。

●特におすすめしたい方●　
日本近現代史、文化史、地方史、美術史、メディア史、社会学研究者、各大学の図書館、公共図書館など。